バイクで走行する前には、必ず日常の点検をしておくことが必要である。安全に走行するための条件でもある。運転者自身が、バイクの状態を十分に確認しておくことで、安心してバイクを楽しむことができるのである。 点検の項目を挙げてみると、 ・エンジンのかかり具合はどうか。異音がしないかどうか。 ・ライトやウィンカーなどのランプ類が、点灯するかどうか。 ・ブレーキレバーやブレーキレバーの遊びは、ほどよくあるか。ブレーキの効き具合はどうか。 ・エンジンオイルの量は、正しいか。 ・バッテリー液の量は、正しく入っているか。 ・タイヤの溝の減り具合や傷などがないか、空気圧はどうか。 バイクの日常点検をするためには、こまめに洗車することも必要である。触れただけで泥や油、ほこりで真っ黒になるようでは、とても点検する気などなくなってしまうだろう。また、それ以上に重要なのは、汚れを落としながら、オイル漏れやボルトの緩みなどに気づくことができるからである。
車検は、正式には「自動車検査制度」という。251cc以上の排気量においては、2年ごとに陸運事務局(車検場)で検査を受け、自動車検査証(車検証)の交付が必要となる。スクーターであっても、251cc以上であれば、必要である。 車検を行うには、自分で手続きなどをするユーザー車検と、販売店や車検工場に依頼して車検を代行してもらう場合がある。 ユーザー車検を行う場合は、代行してもらう場合と比べ、費用は少なくて済むが、手間や時間がかかる。バイクに関する知識を身につけ、バイクの状態をよく知るためには、ユーザー車検も一度は行ってみてもよいであろう。 ランプ類、タイヤの溝、チェーンの伸びなど、必要な点検を自分で行う。修理や交換が必要な部品があれば、きちんと済ませておく。そして、陸運事務局に電話で予約を取る。必要なものは、車検証、納税証明書、定期点検整備記録簿、印鑑。費用は、重量税、検査手数料、自賠責保険24ヶ月分が必要となる。 代行してもらう場合は、車検の費用に加え、点検整備料がかかる。消耗部品を交換したり、傷んだ部品を分解整備などの必要があると工賃もプラスされる。長く乗っている車体の場合、あちこち修理の必要が出てくるので、かなり高額になる。
メーカー指定点検は、定期点検とも呼ばれるもので、メーカーが定めた期間や走行距離ごとに点検を行うものである。購入後、1ヶ月後(または、1,000キロメートル)、6ヶ月後、1年後などに行われる。特に新車に近い時期の整備状態が、車体を長持ちさせる要因となる。点検内容は、期間や走行距離によって違う。料金は、点検の内容によって違ってくるし、また部品交換や修理が必要となった場合には、その部品代や工賃もかかる。 主な点検項目は、ステアリング・ステムの取り付け状態、ブレーキの遊び、ブレーキシューやブレーキパッドの摩耗、ロッドやケーブル類の損傷や緩み、チェーンの緩み、スプロケットの取り付け状態や摩耗、点火プラグの状態、エンジンのかかり具合やイオン、カムチェーンの調節、エンジン弁のすき間、排気の状態、エアクリーナーやエレメントの状態、オイル漏れ、キャブレターの同町、スロットルバルブやチョークバルブの作動、マフラーの機能、フレームの緩みや損傷、各部品の給油脂状態などである。 日頃、自分で行う日常点検も大切だが、メーカーできちんと点検整備を行うことも安心して安全運転をするために必要である。
バイクの点検において、最も重要といえるのがブレーキの点検である。制動力が確実でなければ、どれほど危険であるかは想像できるであろう。 ブレーキには、ドラム式とディスク式がある。 ■フロントブレーキ レバーを握り、ブレーキが効き始めるまでの遊びが、レバーの先端で10〜20ミリメートルくらいあるかどうか。ブレーキパネル側のロックナットを緩め、アジャスターを動かして調節する。また、指を三本掛けて強く握り、グリップを握った指が挟まれない位置に調節する ■リアブレーキ ブレーキペダルの高さは、車種によって違うので、マニュアルを見て調節する。スタンドをおろして、正しいライディングフォームをとって合わせる。ペダル後方のストッパーボルトを回して、高さの調節をする。遊びは、20〜30ミリメートルくらいがよい。 ■ディスクブレーキの場合 フロント、リアともにリザーバータンクのブレーキ液が適量であるか確認する。メインスタンドを立て、リザーバーが水平になる状態にしてから調べなくてはならない。また、ブレーキパッドも、リア、フロントともに摩耗していないか、土などが入って汚れていないか確認する。ブレーキから異音がする場合は、ブレーキパッドの異常が考えられる。ブレーキフルード液のエア抜きも行う。
バイクのバッテリーは、定期的に電解液の量を点検し、規定量に満たない場合は、蒸留水を補充しなければならない。バッテリーは、バイクの走行中に、ジェネレーターから充電し、セルモーターや点火装置、ランプ類に電気を供給する、ということを繰り返している。充電する時には、電解液が濃度を高めようとするため液がしだいに少なくなる。取り外しのしにくいサイドカバーの中にバッテリーがあると、なおざりにする人がいるが、放っておくとバッテリー上がりになったりして走行できなくなってしまう。かえって、バッテリーの寿命を縮めてしまうことになるので、面倒がらずに定期的に点検しておくことが必要だ。 下から見て底に沈殿物がたまっている場合は、充電能力が落ちているので交換の時期である。また側面に白い部分が現れていたら、これも充電は不可能な状態で、交換しなくてはならない。 バッテリーの液量を確認して基準以下の場合は、電解液もしくは蒸留水を補充する。バッテリーの電解液は、希硫酸なので取り扱いには、十分注意しなくてはならない。衣服などをボロボロにしてしまうだけでなく、皮膚に触れるとやけどを起こし、医師の診察が必要な事態にもなる。蒸留水の場合は、問題なく補充することができるだろう。 液を補充したら、バッテリーターミナルがさびたり汚れたりしていないか、緩んでいないかを確認する。いずれも電流の流れが悪くなる原因となる。掃除をする時は、必ずアースのついたマイナス側から先にターミナルをはずす。逆に、取り付ける時はプラス側を先に、マイナス側はあとから取り付けるとショートしない。
灯火装置、つまりランプ類の点検は、スイッチを入れてみて、点灯するかどうかをまず確認することである。夜間の走行中や、不便な所でライトが切れたら、事故にもつながるので、バルブ(電球)は予備を用意しておくとよいだろう。 主なランプ類は、ヘッドライト、テールランプ、ウインカー、ライセンスプレートランプ、ブレーキランプである。まずは、スイッチをオンにして、すべてのランプ類がきちんと点灯するかを確認する。特に後部のウインカーやブレーキランプは、走行中には自分で気がつきにくいので、停車中に確認しておいたほうがよい。 点灯するかどうかを確認したら、ほこりなどの汚れも落としておきたい。走行中の振動でボルトが緩むことがあるので緩んでいないか、ランプのレンズに傷やひびが入っていないかも確認する。また、配線が外れかけたり、切れそうになっていないか、傷が入っていないかも確認する。ヒューズボックスを開けてみて、ヒューズが溶断していたり、曲っていたら交換する。何もなくても、できれば2年ごとには交換しておくと、ヒューズが劣化して突然断線するなどのトラブルが避けられる。 なお電球は、指定されたワット数やボルトのものを使わないと切れやすくなったり、長持ちしても暗かったりする。
エンジンの状態を知るには、まず排気ガスの色、異音などに、気を使うことである。排気ガスの色は、最低でも10分以上エンジンを暖気したのち確認する。一番良い状態は、無色の排気ガスが出ている場合である。ただし、加速が悪い、低速回転にムラがあるなどの異常が感じられる場合は、キャブレターの調節をする必要がある。白色の排気ガスが出ている場合は、エンジンオイルが燃料とともに燃焼していることが分かる。しかし、2サイクルの場合ピストンの摩耗が考えられる。また4サイクルの場合もバルブまわりを点検しておくとよい。黒色の濃い排気ガスの場合は、完全に燃焼していない状態である。点火プラグが汚れていないか、エアクリーナーをはずすと調子がよくなるか、などを調べて対処する。 オイルレベルの点検は、車体をまっすぐにした状態で行う。オイルレベルゲージが付属していたら、付着したオイルをふき取って使用する。もう一度オイルレベルゲージを差し込んで引き抜き、確認する。ロアレベルに近い状態であれば、アッパーレベルまでオイルを補充する。点検窓がついている場合は、窓に示されたゲージに合わせる。 ラジエーター液も、車体を垂直に立てて確認する。リザーバータンクの液面を見て、ロアレベルまで低下していたらアッパーレベルまで補充する。ラジエーター液の減少が激しい場合は、エンジンをかけて漏れがないか調べる。水温計が正確に作動しているかどうか、配線を点検しておく。
タイヤの点検でもっとも重要なのは、空気圧の点検である。目で見た印象で安心していても、実際に押してみると意外と減っていたり、エアゲージで図ると思ったより空気圧が低い場合がある。空気圧が低くなっていると、走行中にハンドルの切り返しが悪くなる。タイヤが大きく変形し路面との接地面積が大きくなるので、抵抗が大きくなり燃費が悪くなる。さらに、摩擦熱で温度が高くなり、バーストするなどタイヤに致命的な損傷を与える。タイヤを長持ちさせ、十分な性能を発揮させるためには、メーカーで指定された適切な空気圧を保つことだ。エアゲージは、自分で持っておき、自分で定期的に点検したい。 次に、タイヤの摩耗状態を定期的に確認しておく必要がある。タイヤに記してあるスリップマークが見えたら、すぐに交換しなくてはならない。溝(トレッド)が浅くなるとグリップ力がなくなり、制動時やコーナリングの時、雨天の時などは、スリップして大事故の原因となり、たいへん危険である。長距離走行の前後などは、特に注意して確認しておきたい。 また、タイヤに傷やくぎなどが刺さっていないか、溝のすき間に石などが詰まっていないかも確認する。チューブレスタイヤの場合、タイヤにくぎなどが刺さっても、空気はじわじわと抜けていくので気づきにくいので、日ごろから注意が必要だ。
チェーンは、エンジンからの出力を後輪に伝え、バイクを駆動させるための重要なパーツである。泥やほこりなどゴミが付着しやすいので、まずはこまめに洗浄して、チェックする必要がある。チェーンの汚れは、伸びの原因の一つである。洗浄の仕方は、まずチェーンをゆるめスプロケットからはずしてたるませる。できれば、プライヤーでチェーンの継ぎ目を外して切り離し、はずして作業するのがよい。洗浄液の入った容器に浸してブラシでこする。チェーンを張ったままで作業すると、油汚れが飛び散り、後始末が大変になる。 また、チェーンの点検で大切なのは、ある程度のたるみがあるかどうか、である。このたるみの程度は、バイクの車種によって違うので、マニュアルで確認して調節しなくてはならない。まずアクスルナットを緩める。アジャスターで後輪を後方へ引いて、規定のたるみ幅になるように目盛りを合わせる。この時左右同じ位置になるように注意する。 その後、チェーンの伸びを少なくするるために、チェーンオイルをさす。チェーンのローラー部だけでなく、両側の側面にもしっかりと給油する。余分なオイルはウエスでふき取りながら、全体をまんべんなく磨くつもりで伸ばしておくと、さびの予防になる。何よりオイルが切れると摩耗しやすくなり、チェーンが切れる原因となり、たいへん危険である。 ただし、グリース封入式のオイルレスチェーンの場合は、洗浄したり、スプレー式のチェーンオイルなどを使用してはならない。ウエスでふき取るだけにして、あとは、マニュアルの指示に従う。
バイクのステアリングは、ハンドルとハンドルを回転させるステアリングステムとフロントフォークからなる。 まず、ハンドルバーをハンドルホルダーのポンチマークに合わせてあるか確認する。また、体形によってポジションが変わってくるので、ライディングの基本姿勢をとってグリップを握ったときに、正しい位置で握れるように微調整しておくことも必要である。ポジションが決まったら、ジャッキを使ったり箱を置いたりして、フロントホイールを浮かせる。 ハンドルをゆっくり回して、重すぎたり軽すぎたりしないか調べる。重すぎる場合は、締め付けすぎ、あるいはワーヤーやケーブル類のとり回しが悪くハンドルの回転を邪魔している場合が考えられる。また、回転中に引っかかりを感じる場合は、ベアリングにガタがきていることが考えられる。 フロントフォークは、フロントブレーキを握りながらハンドルをグッと押して点検する。クッションの沈み方や戻り方がなめらかかどうかを確認する。フォークオイルの量が適量かどうか、フォーク内の空気圧が適度かどうか、インナーチューブの高さが左右そろっているかどうかを確認する。フロントフォークの点検や整備は、つい怠りがちであるが、安定した走行をするためには重要である。