バイクのメンテナンス

メンテナンスの必要性

どんな機械でも同じであるが、バイクにおいても、メンテナンスは非常に重要である。バイクの性能を保つためだけでなく、安全に走行するために、メンテナンスは必須である。 ・タイヤは、ひび割れていないか、溝はきちんとあるか。 ・チェーンが伸びていないか。 ・ミラーは、正しくついているか。 ・ランプ類は、きちんと点灯するか。 ・ブレーキは、きちんときくかどうか。 ・オイル類は、定期的に交換しているか。 など、あげればきりがないが、メンテナンスを怠るといったいどういうことになるだろうか。バイクが故障する原因になるだけでなく、事故の原因ともなる。他人を巻き込む結果にもつながるのである。 たとえば、ブレーキを見てみよう。メンテナンスされていないブレーキは、突然効かなくなるわけではなく、少しずつ効かなくなってくるのである。まだ大丈夫、と思っているうちに、事故の原因につながることもある。 ブレーキの効き味がよいと、走行そのものを楽しむ余裕も生まれる。その気持ちの余裕も、安全運転につながるのだ。 また、バイクは、車種によってメンテナンスの方法も異なる場合が多いので、 自分で行う場合は、必ずマニュアルを手に入れて、その方法や手順に従って行うことが大切である。

エンジンオイルの交換

エンジンオイルの交換を怠ると、どういうことになるだろうか。まず、シフトタッチが悪くなり、シフトチェンジがしにくくなる、またギア抜けする、など走行中に支障をきたす。ひどい場合には、エンジンが焼きついて故障してしまう、ということにもなりかねない。エンジンの性能が衰えるばかりでなく、寿命を縮めてしまうことにもなるのだ。 エンジンオイルは、その走行距離によって性能が悪くなっていく。最初は、はちみつのようにトロリとした褐色のオイルが、走行を続けるうちに墨のようにサラサラで真っ黒な状態になる。タイヤなどのように外から見えない部分であるが、走行とともに確実に劣化している。 エンジンオイルの交換は、それぞれのバイクに入るオイルの量によって、1リットル当たりの走行距離1,000キロメートルを目安とするとよい。 ただし、めったにエンジンをかけないバイクであっても、オイルは劣化するので、半年に一度は交換した方がよい。 大切なバイクに長く乗ろうと思ったら、定期的にエンジンオイルを交換することが大変重要でなのである。

オイルフィルターの交換

オイルフィルターは、エンジンオイルが循環する通路につけてあり、エンジンの内部を循環しているエンジンオイルをきれいに保つためのものである。エンジンを循環している間に、オイルには金属の削りかすなどの異物が交じる。エンジン内部の金属と金属の摩耗による損傷を防ぐのがエンジンオイルの働きである。そこで、目の細かいろ紙のようなフィルターを通すことによって異物を取り除くのである。このフィルターが目詰まりをおこしてしまうと、エンジンが焼きつく原因となってしまう。 インナータイプとカートリッジタイプがあり、車種によって異なる。インナータイプの場合は、エンジンのクランクケースの中に組み込まれている。カートリッジタイプの場合は、エンジンの外に取り付けられている。着脱しやすくメンテナンスがしやすいため、最近設計されたエンジンでは、カートリッジタイプを採用することが多い。 交換の時期は、オイル交換2回につき1回は行った方がよい。オイル交換時に、オイルをすべて排出したのち行う。カートリッジタイプの交換作業にはオイルフィルターレンチという工具が必要であるが、ショップによっては、オイルとフィルターを購入すると工賃をサービスしてくれるところもあるので、確認してみるとよい。

エアフィルターの交換

エアフィルターは、エンジンに取り込まれる空気を清浄にするために必要なものである。エンジンの中にダスト(チリ、微小な金属片、砂など)が紛れ込むとキャブレターが目詰まりを起こしたり、シリンダーやピストンに傷が入り、繊細なエンジンに支障をきたす。そのため、空気中の小さなダストをエンジン内部に取り込まないように、エアフィルターを使用するのである。 エアフィルターそのものが目詰まりを起こすと、エンジン内に空気を送り込むことができなくなる。そのため、エンジンはガソリンを燃焼させることができず、止まってしまう、という事態にもなる。 エアフィルターには、「湿式」と「乾式」の2種類がある。 「乾式」のエアフィルターは、カートリッジ式になっているので交換するのが比較的簡単である。材質は、特殊な厚紙のようなものでダストを通しにくい。ロードタイプのバイクの純正品は、たいていこのタイプが使用されている。 「湿式」は、スポンジのような素材でできている。交換ではなく、専用のフィルタークリーナーオイル、もしくは灯油で洗浄して使用する。主にオフロードタイプのバイクで使用されている。 オイル交換2回につき1回、走行距離でいうと条件にもよるが5,000〜8,000キロ毎にメンテナンスを行うのがよい。

サスペンションオイル(フォークオイル)の交換

サスペンションオイルは、フォークオイルともいう。サスペンションは、バイクの前輪を挟む形でタイヤの左右に取り付けられており、クッションの役割を果たしている。 バイクのフロント(前輪)のサスペンションは、フレーム(車体)とタイヤホイールをつなげる形でついており、前輪の方向を定める役目も兼ねている。このフロントのサスペンションは、フロントフォークとも呼ばれている。 フロントフォークは車種によっても違うが、インナーチューブ(内筒)とアウターチューブ(外筒)が繰り出し式の望遠鏡のようになっており、その中にスプリング(ばね)とオイルが入っているタイプが多い。バイクの車種によってアウターチューブが下側になる「正立式」と上側になる「倒立式」の2種類がある。 交換する場合は、まず、インナーチューブのボトルをはずし、中のオイルを抜き取る。この時逆さまにしてしばらく放置し、完全に抜き取る。使用済みのオイルは、真っ黒でさらさらになッているはずである。新品のオイルは、赤くていちごシロップのようにトロリとしている。これを左右のフロントフォークに規定量、左右が同じになるように入れる。 車種によって、交換の仕方やオイルの分量などは、細かい規定があるので、必ずマニュアルをしっかり読んで作業することが大切である。また、作業後、はずしたボルト類を忘れずに確実に閉めておくことが、重要である。 交換の時期も、車種によって違い5,000〜10,000キロメートルごとであるが、バイクの安全にかかわるのでサスペンションのへたりを感じたら、早めに交換する方がよい。

ブレーキパッドの交換

バイクのブレーキは、ブレーキディスクをブレーキパッドで挟むことによって制動する仕組みになっている。したがって、ブレーキを何度もかけることにより、ブレーキパッドは摩耗して薄くなっていく。ブレーキパッドがすり減ってこれば、ブレーキの効きが悪くなるのは当然のこと、ブレーキディスクを傷つける恐れもある。ブレーキパッドの厚さが2ミリくらいまで減っていたら、取り換え時である。側面に溝が入っているものもあるので、それを目安にすると確認しやすい。 ブレーキキャリパーをはずし、古いブレーキ パッドを抜き取り、新しいものを入れ替える。2枚のブレーキパッドの間に、ディスクを挟むように取り付けるのだが、新しいブレーキパッドの厚みがあるのでパッド間のすき間が狭くなっている。そこで、マイナスドライバーでパッドを傷つけないように慎重に押し広げて、ディスクを挟み、車体に取り付ける。 ブレーキパッドの交換後は、始動する前にブレーキペダルを何度も踏んでおかないと、たいへん危険である。交換の際にパッドを押し広げてできた遊びがあるので、このまま走行すると、最初のブレーキが効かないからである。

ブレーキフルードの交換・エア抜き

ブレーキフルードとは、ブレーキをかけた力をタイヤに取り付けられたブレーキパッドに伝える液体のことである。劣化したブレーキフルード液を新しいものと交換する時、古いものを一気に抜いて新しいものを入れるかえる方法と、古いものを少しずつ出しながら新しいものを足して最終的に交換する方法がある。このとき、ブレーキシステム周辺がブレーキフルードで汚れないよう、注意しなくてはならない。もしブレーキパッドなどを汚してしまったら、新品と交換しなくてはならない。 交換の作業には、フルードとホース内にエアが混入しないように、十分に注意しながら行うことが必要である。しかし、前述の古いものを一気に抜いて新しいものを入れ替える方法では、どうしてもエアが入ってしまうので、エア抜き作業が必要となる。エア抜きを完全にしておかないと、ブレーキがきかない状態になり、たいへん危険である。ブレーキのレバーやペダルが柔らかすぎると感じたれる場合は、エアが入っていると考えられる。 また、ブレーキフルードを交換する時は、リザーバータンクのキャップの下にあるダイヤフラムも新品に交換しておいた方がよい。

タイヤのメンテナンス

タイヤのメンテナンスというと、タイヤ交換をすぐに思い浮かべるかと思うが、できるだけタイヤを長持ちさせるためには、日ごろのメンテナンスが重要である。それは、空気圧をこまめにチェックすることである。タイヤの空気量が減っていると、路面との接地面積が大きくなり、タイヤの側面が削れることになる。また、ハンドルをとられて運転にも支障をきたしたいへん危険である。 タイヤが削れるということは、タイヤの溝が減るということである。溝が減ると、滑りやすいだけでなく、パンクしやすくなる。 タイヤは、自転車のように中にチューブが入っているタイプと、そのまま直接空気を入れるタイプのものがある。どちらもタイヤを交換をするには、タイヤレバー2本とタイヤゲージが必要である。タイヤレバーは、先がヘラのようになった工具である。これでタイヤをホイールからはずし、新しいタイヤと交換する。 タイヤがパンクした場合、中にチューブが入っているタイプのものだと、市販のパンク修理キッドでチューブの穴をふさいで処置することができる。 新しいタイヤをはめ込むまえに、進行方向を確認して間違えないようにしなくてはならない。また、作業の前に、タイヤの内側(ホイールにはめ込む部分)に薄めた中性洗剤を塗っておくとはめやすい。最後に空気を入れ、タイヤゲージで空気圧を調節しておく。

ケーブル類のメンテナンス

バイクのケーブル類には、スロットルワイヤー、クラッチワイヤーなどがある。走行中に切れてしまっては、大事故にもつながりかねない。ハンドルを回してみて、クラッチレバーやブレーキレバーがどの位置でもスムーズに作動するかどうか点検してみるとよい。動きが硬い場合は、アジャスターをゆるめてワイヤーを外し、油をさしておくとよい。さびたもの、伸びきったものは、当然交換しなくてはならない。また、スロットルを戻しても回転数が下がらない、クラッチが入りにくい、などの症状が感じられたら、交換した方がよい。 スロットルワイヤーが切れることはめったにないが、キャブレター側の調整をしっかりしておかないと、ハンドルを切ったときに、急にエンジンの回転が上がることがある。 ワイヤーの中では、クラッチワイヤーが最も切れやすくトラブルが多い。ツーリングに出かける時などは、切れるとどうにもならないので、予備を持っておいた方がよいパーツの一つだ。 ワイヤー交換の際には、そのとり回しに気をつけなくてはならない。短すぎればもちろん運転に支障をきたすが、長すぎてもハンドル操作の邪魔になるので、車体にきちんと固定しておく必要がある。

バッテリー交換

バイクのバッテリーは、エンジンの回転によって作られた電気を充電するものである。この電気によって、ウィンカーやライトが点灯するのである。もっと重要な働きは、エンジンを始動させるためにこの電気が使われている、ということである。バッテリーも2〜3年使用すると、性能が衰えてくる。バッテリーが上がる、という状態は、バッテリーに電気が蓄えられていない状態のことを言う。バッテリーが劣化してくると、いつエンジンがかからない状態になってもおかしくない。バイクのパーツの中では高価なものだが、早めに交換することが望ましい。 バッテリー交換は、バイクのメンテナンスの中でも、たいへん危険を伴う作業である。バッテリーを車体からはずす際は、ショートするのを防ぐために、必ずマイナス側から先にはずす。また、バッテリーの中身は希硫酸という、たいへん危険な薬品である。バッテリー液を、バッテリー本体に注入して使用するタイプの製品では、必ず水平な場所において作業すること。ゴミなどが入っていないことを、十分に確認する必要がある。液が完全に入るには、10分ほどかかるのであわてずに入りきったことを確認することが必要である。交換後には、すこし走行してしっかり充電しておくとよい。 なお、バッテリーは必ず車種にあったものを取り付けないと、破裂するなどの危険性があるので、マニュアルや店頭で確認することが重要だ。

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